正常性バイアスとは? 自分は大丈夫と思い込む

正常性バイアス

正常性バイアス(正常バイアス)とは、災害などの緊急時であっても、物事を過小評価する心理傾向です。
災害時にも関わらず「自分は大丈夫だろう」という根拠のない確信を持ってしまうため、逃げ遅れることもある危険なバイアスです。

学校やオフィスでサイレンが鳴れば、誰もが点検か誤作動を疑います。
その経験しかないからです。

また、命に関わるような状況でも、大半の人は、その状況を正しく認識できません。
驚くほど、動かなかったり、周りが平常かのように振る舞います。

大災害などの事例はwikipediaにも載っています。

当時、タイタニック号のような大型船が沈むなんて、誰も思わなかったでしょう。

しかし、今も同じです。
誰もが現代の技術で造られた船が沈むことは、想像できません。

正常性バイアスを防ぐ方法

オフィスにゴミが落ちていました。

あなたは、心の中でちょっと怒りながらゴミ箱に捨てます。

さて、質問です。

あなたのオフィスにある消化器は、どこにありますか?

意外に答えることが難しい質問です。
今まで何千回も見ているはずの消化器なのに。

落ちているゴミよりも、はるかに重要な消化器の場所が分からないのです。

実際にこの質問をすると、次からはハッキリと答えられます。
それどころか、消化器が視覚に入るだけで、意識するようになります。

これは、正常性バイアスを防ぐ方法のひとつです。

失敗経験が行動を起こす

前述にある消化器の質問は、失敗経験です。
火災に対する意識のなさに、恥を感じるのでしょう。

失敗を積むと、人間は学習して、スキルを得ることができます。

ところが、災害や事故を経験することは困難です。
したがって、正常性バイアスは本当に危険です。

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避難訓練の同調が危険なことに

避難訓練を思い出してください。
学校であれば、先生に従う必要があります。

もしくは、周囲に同調して避難行動をするでしょう。
この同調が、最も危険です。

なぜなら正常性バイアスの掛かった人に同調して、被害が大きくなるからです。

事前の予告なしに、避難訓練を行うこともあるでしょう。
それでも学習するのは、あくまで訓練の結果です。

訓練のために学習しては、本末転倒です。

自分でシミュレーションしておく

正常性バイアスを防ぐために、シミュレーションをしてください。

自宅のマンションでも、学校、会社でも、どのルートで逃げると安全なのか、調べることが大切です。

多くの人間は、受動的です。
避難訓練ではなく、自ら調べることで、行動に繋がります。

もう少し技術が進歩すれば、AR技術やVRを使って、災害のシミュレーションができるかもしれません。

正常性バイアスが起こる理由

正常性バイアスが起こる理由については、たくさんの理論が存在します。(あくまで理論です)

1.情報処理に時間が掛かる

ショックな出来事に対して、脳の処理に時間が掛かります。
どんなに訓練した人でも、プレッシャーの下では、意思決定が不完全になります。

2.動かない方が安全だと勘違いする

動物の世界では、大きな捕食者が「逃げない小さな獲物」を見逃すことがあります。

これは毒を持っている動物が、逃げない傾向にあるからです。
また、怖くて動けない動物もいます。

もしかしたら、人間も本能的に動けないのかもしれません。

3.恐れない自分を演じる

冷静沈着な人物は、あこがれの対象です。
世界の部族には、あえて危険なことをする風習が残っています。

これと同じように、「恐れない自分」を演じている可能性があります。
そのため行動せず、動かないのです。

正常性バイアスの人に、巻き込まれないでください。

パニックになるかは疑問が残る

私は最初、正常性バイアスは、パニックにならないためにあると考えました。

集団が一斉に出口を目指すと、結果として犠牲が増えます。
一気に押し寄せると、出口付近が混在するからです。

より多くの人を助けるために、正常性バイアスのような多様性があるのだと思っていました。

しかし、私の考えは違うかもしれません。

たくさんの映画で、集団がパニックになる映像を見かけます。
しかし、現実世界で「集団がパニックになって逃げられなかった」という事例が見当たりません。

ほとんどが逆で、正常性バイアスによって、動かなかった人が犠牲になっています。

理由はともかく、災害が起こったときは、迷わず避難しましょう!