「自分との戦い」の戦略が人生で上手くいく理由

自分との戦いvsライバル

ライバルがいると、成長しやすいのでしょうか?

他人と比較すると、嫉妬やネガティブな感情が増えます。
もちろん、自分の方が優れている場合は別です。

しかし、ほとんどの人は、自分より優れた人と比較をします。
つまり、本当に最適なライバルは、見つけることができません。

ライバルが優れている場合、どんどん離されます。
楽しくない気分になり、興味を失っていきます。
そして最後は、挫折します。

自分が優れている場合は、ライバルを離します。
今度は、ライバルがあなたに興味を失い、離脱します。
ライバルが友人であった場合、不幸かもしれません。

仕事やスポーツで成長するのであれば、ライバルを見つけるよりも、良い方法があります。

ライバルではなく時間と比較する

全員が1位になる運動会があるそうです。
実際に見たことはありませんが、「優劣をつけず、比較をさせない」という教育方針なのでしょう。

しかし、これは上手くいきません。
子どもは、他人との優劣に敏感だからです。

実は、ライバルと比較するよりも、もっと上手く行く方法があります。
それが「時間と比較する方法」です。

「時間と比較」とは?

時間と比較する方法」とは、過去の自分と比較することです。

過去の自分と、今の自分を比べます。
そして、どれだけ上手くなったかを比較します。

心理学の研究は、「誰かと比較する」よりも、「自分と比較する」という戦略が上手くいくことを見つけました。[※参考文献1]
対象は、小学生から中学生の子どもです。

この方法は、自己肯定感を守るのと同時に、自分が成長するのを助けます。
研究者らは、以下のパターンを試しました。

ひとつは、他人と比べることです。
そして、もうひとつは、自分と比べることです。

他人と比べた場合は、自分が優れていることに、注目します。

わたしは、他の生徒よりも、歌が上手かったです。
他人と比べた生徒は、他人よりも優れていることに喜びを感じていました。

過去の自分と比べた場合は、自分のスキルを改善することに注目します。

わたしは、友だちが少なかったです。
しかし、知らない生徒の横に座ることで、友だちが増えました。
過去の自分と比べた生徒は、改善する方法を学んでいました。

この2つのパターンは、両者ともに、自分が優れていました。
前者は、他人と勝つことが目標です。
しかし、後者だと、スキルアップが目標になるのです。

なぜ、自分と比べると、上手くいくのか?

他人に勝つことで、気分がよくなります。
前述の研究のように、気分が良いので、他人に勝つことが目標となります。

例えば、スポーツ選手だと、どうでしょうか?
スポーツでは、他人に勝つことが目標です。

ですから、他人に勝つために、戦略を考えないといけません。
しかし、勝つことの気分の良さを求めると、自己の改善が不十分になります。

最悪なのは、ドーピングです。
ズルをしてでも、他人に勝つ気分の良さを優先してしまうのです。

仕事や勉強、趣味も同じ

スポーツ以外だと、「他人に勝つ気分の良さ」というのは、恐ろしいことになります。
スキル以外に、いくらでも方法があるからです。

とくに仕事の場合は、厄介です。
うまく上司の機嫌をとり、出世する人がいます。

結局それをやってしまうと、出世したあとに苦労するか、スキルのなさを見抜かれてしまいます。

優越感のために戦わない

優越感を求めるために、戦ってはいけません。
過去の自分と比較すれば、スキルを求めることができます。

他人に勝つことばかりを求めると、結果的に自分が辛くなるだけです。

自分との戦いに勝つ方法

自分との戦いは、上手く行かない」という人もいます。
それは、今の自分と戦っているからです。

過去の自分と比較してください。
過去の自分と比較すれば、負けることはありません。

そして、勝利を感じることで、モチベーションに繋げることができます。

過去の自分と比較する方法

期間ごとに、自分の成長を把握してください。
そして、長すぎる期間を設定しないでください。

1年も時間があれば、ほとんどの人は、何かしらの成長をします。
ですから、1ヶ月ごとに、成長を記録します。

1ヶ月前にできなかったことが、できるようになった

これぐらいだと、モチベーションに変えることができます。
しっかりと成長が実感できて、自分に勝つことができれば良いのです。

記録するアプリは、Evernoteなどを使うと良いでしょう。
もちろん、紙のノートでも構いません。

教育であれば、期間ごとに、子どもの成長を把握してください。
クラスで1位だったよ」よりも、「前回よりも成長できたね」と言ってあげましょう。
なぜなら、1位から転落することもあるからです。

最後に

この方法は、ライバルが見つけられない場合、非常に有効です。
ほとんどのスキルは、ライバルがいません。

プログラミングや音楽の勉強をするにしても、ライバルを見つけることは困難です。
マンガのように、上手くいかないのが現実です。

もちろん、ライバルがいる場合にも有効です。
ライバルを負かすことが目的だと、気分の良さで溺れてしまいます。

自分との戦いは、過去の自分が相手です。
ライバルが相手よりも、確実に勝つことができます。
この勝利は、モチベーションです。

子どもを育てるときは、「過去の自分から成長できた」という小さな勝利が、「みんなの喜びに変えることができる」ということを教えてあげてください。

参考文献

  1. Better than my past self: Temporal comparison raises children’s pride without triggering superiority goals.