PCやスマホの中に、使うことのない写真画像や、不要なテキストファイルが貯まっていませんか?
デジタルホーディング(=digital hoarding)とは、不要なデジタルファイルを捨てることができない状態のことです。
e-ホーディング、サイバーホーディングとも言われます。
ホーディングとは、ゴミなど不要な物をため込むことです。
物理的なゴミではなく、デジタルの不要ファイルなので、デジタルホーディングと言います。
また、デジタルファイルを捨てられない人のことを「デジタルホーダー(=digital Hoarder)」と言います。
目次
デジタルホーディングの誕生
2015年のオランダで、47歳の男性が「デジタル写真が多すぎて、管理や処理に膨大な時間が掛かる」という状況に陥りました。
この事例を紹介した論文にて、はじめてデジタルホーディングという言葉が使われました。[※]
この男性は、1日に1,000枚の写真を撮ることがありました。
膨大な写真が貯まっていたので、もちろん管理できません。
しかし彼は、「いつか使う」と信じ込んでいたのです。
また、この男性は過去に、注意欠陥障害(ADD)と自閉症スペクトラム障害(ASD)と診断されていましたが、直接の要因であるかは判断できていません。
フォルダを確認しよう
私は、デジタルホーディングという言葉を見つけてから、自分のPCに入っている写真を確認しました。
風景写真は、明るさを変えて、7枚ずつ写真を撮ります。[※]
- オートブラケットと言う撮影機能を使います。
私も管理ができていません。
過去、「もう少し暗く撮影すれば、満足できる仕上がりになっていたのに」と、後悔したことがあります。
その経験から、一度に7枚も同じ景色を撮るようになりました。
ハードディスクを買い足せば、いくらでも保管ができるので、ホーディングの状態になっています。
不安がホーディングを生む
「いつか使うかもしれない」という思い込みは、不安から来ています。
不安は、未来に起こる悪い出来事を回避するためにあります。
こうして、捨てることができないのです。
私も不安が多い性格だと、自覚していました。
写真の保存にも、その傾向があったようです。
デジタルホーダーと呼ばれる人は、「いつか使うはず」と思い込んでも、そのファイルは使われません。
そして、管理不能になります。
デジタルファイルの管理方法
デジタルホーダーは、それほど心配することではありません。
なぜなら、物理的なモノが捨てられない人には、専門家がデジタル化をアドバイスするからです。
デジタル化は、モノが捨てられない人の症状を軽減します。
そうであれば、デジタルホーダーでも悩む必要はありません。
そこで、ファイルの管理方法を見直しましょう。
フォルダで管理しない
ほとんどの人は、PCのファイルを現実世界と同じように管理しています。
例えば、アイテムを引き出す時、Aの部屋にある、Bの引き出しの、上から2番目、という管理方法です。
PCの管理方法も、Aフォルダの中にある、BフォルダのCフォルダ、という管理をしてしまいがちです。
これはデジタルのメリットを引き出せていません。
検索性を高める
ハードディスクの空き容量さえあれば、デジタルのファイルは「ドラえもんの四次元ポケット」のようなものです。
フォルダで管理する必要はありません。
名前で検索すれば良いのです。
- 【議事録】2019年9月17日_A社_打ち合わせ_田中_渋谷本社.pdf
このようなファイル名にすれば、PC内を検索するだけで、見つけることができます。
フォルダの管理方法を考えるより、探す方法を工夫すれば良いのです。
詳しい方法は、以下のサイトをご参考ください。
片づけ術よりも大切なこと
近藤麻理恵さんの片づけ術は、世界的な大ブームになりました。
彼女の片づけ術は、コンマリメソッドと呼ばれます。
コンマリメソッドは、精神的な健康へのメリットがあります。
持ち物が少なければ、持ち物について、考える必要がないからです。
一方で、もっと根本的なことがあります。
それは、不安を捨てることです。
持ち物への不安を捨てる
物理的に片づけることは、管理が不要になるので、精神的な気分を改善します。
部屋も広く使えるので、良いことばかりです。
しかし、モノを捨てることに不安を持つ限り、片づけるのが難しくなります。
(それでもコンマリメソッドには、強制力があるので、非常に有効でしょう)
不安がモノを増やす
同じ服を買ってしまう人の心理を見てましょう。
服は消耗品なので、いつか着ることができなくなります。
ここに不安が発生するので、同じ服を2着、3着と買ってしまいます。
しかし、実際は1着しか着ないのですから、お金の無駄使いです。
また、増えた服について、置き場所や管理を考える必要があります。
こうして、意思決定までも浪費するのです。
モノへの不安をなくす方法
不安を取り除く方法は、経験を増やすことです。
いわゆる「慣れ」です。
例えば、東京スカイツリーに登ると、最初は高くて怖い思いをします。
しかし、10分程度で慣れます。
これは、その場所が安全だと認識するからです。
次第に「大したことではない」と、不安が消えていきます。
不安への対処は、経験を増やすのが一番です。
安全だと分かれば、不安が少なくなります。
そして、経験を増やすには、行動を増やすしかありません。
不安は、あなたが見る世界をゆがめます。
経験を増やすことで、ゆがみのない世界に変わります。
▼慣れやマンネリについては、以下の記事をご参考ください。
使えるものを捨てる
片付けには、4つの考え方があります。
- 使う物
- 使える物
- 使わない物
- 使わないけど思い出の物
ほとんどの人は、「使わない物」を捨てます。
しかし、これだけでは、家の中が狭くなり、物が多い状態になります。
「使える物」を思い切って捨てることが必要です。
そして、「捨てても何も影響しなかった」という経験を得ましょう。
使わないけど思い出の物を大事にする
「使わないけど思い出の物」は、捨てないでください。
ただそれを見るだけで、心が落ち着いたり、気分が改善します。
デジタル写真であっても、友だちと写っていたり、楽しい経験をした写真は残しましょう。
写真を見返すことは、多くの心理研究でプラスの効果が認められています。
クリエイティブ能力と整理整頓
天才、偉人と呼ばれる人の机は、驚くほど散らかっています。
アインシュタインの机の上は、物を置くスペースすらありませんでした。
頭の中に入らない情報を、視覚に入れることで、創造性を働かせています。
創造性は、ゼロからではなく、何かを組み合わせることで生まれるのです。
モノがなければ、それについて考える必要がなくなります。
ですから、考える必要があるモノは、机に出しておけば良いのです。
デジタルファイルの平均値
一般的な人は、どれほどのデジタルファイルを持っているのでしょうか?
米サミットホスティング社の調査報告があります。
- 携帯電話の写真:582枚
- Webサイトのブックマーク:83個
- デスクトップのアイコン:21個
- 未使用のスマホアプリ:13個
- 外部ストレージの使用量:645ギガバイト
これらが平均値です。
とはいえ、すぐにファイルを捨てる必要はありません。
1,000枚の写真を持っていても、すべてを管理する必要はないのです。
最後に
デジタルホーディングは、そういった事例があるだけで、病気と認められていません。
片づけができないのではなく、物が捨てられないのです。
その要因は、捨てることへの不安です。
やはり、認識を変えること、経験を増やすことは大切です。
100個のモノを捨てて、「そのうちの1個が必要だった」と、後悔することがあります。
しかし認識を変えれば、99個が不要だったのです。
99個のモノを捨てたことに対して、メリットを考えることが大切です。
きっと部屋が広くなり、気分もスッキリしているでしょう!
後悔に目を向けず、よかったことに目を向けるだけです。