いじめを減らすには、いじめる側の悪影響を知ることが大事

いじめに関する研究報告

いじめは、世界中で起きている問題です。
そこで、海外の研究がヒントになる場合もあります。

2019年11月、いじめに関する新しい研究報告を紹介します。
コロンビア大学の研究者らが見つけたのは、「いじめる側にも精神面の悪影響がある」ということです。[※]

今まで、いじめられる側への対処を誰もが考えてきました。

いじめてはいけない」という教育では、「相手がどれだけ嫌な思いをするか?」という視点で教えられています。
一方で「いじめる側」については、あまり考えられていなかったのです。

この研究には、いじめを減らすヒントがあります。

いじめる側の悪影響を知る

前述のコロンビア大学による研究では、タバコと健康の大規模調査をもとに、いじめに関わった子どものデータを抜き出しました。
対象は、12歳から17歳までの13,200人による分析です。

研究で見つかったのは、いじめをした側に、内面化(内在化)[※]の問題があったことです。

内面化とは、社会的な生活をする上で、お手本となる人格や行動を、自分の感覚に取り込むことです。
簡単に言えば、「モラルや道徳心を自分のものにする」という感覚です。

犯罪をしないのは、お手本となる人を見て育ち、その行動が常識だと感じるからです。

ですから、内面化に問題のある人は、反社会的な行動が多くなる傾向にあります。

この研究により、いじめる側に内面化の問題が見つかりました。
さらに、内面化に問題のあった人は、他人をいじめる傾向にありました。

  • この研究の調査方法では、いくらか不確実性が発生します。いじめる側と内面性の問題に「関連性が高い」という評価です。

いじめた側の親が問題を認識する

親は、子どもがいじめにあってないか、心配します。
そのため、「子どもが被害者にならないために」という対策に目が向きます。

一方で、他人を「いじめていないか」という心配は、意識が低くなってしまいます。
この問題意識が低いのは、「いじめられる側」になるよりも「いじめる側」になる方が「マシ」という間違った感覚です。

この感覚を正すには、前述の研究報告を知ることです。

いじめをする人は、社会に適応するのが難しく、反社会的な行動をする可能性が高くなる」という認識が必要です。

これにより、自分の子どもが「いじめをしていないか?」という心配が生まれます。

子育てに「いじめをしないように育てる」という取り組みが、必然となるのです。

教育を変える

今の教育では、いじめを発見し、被害者を保護すると同時に、加害者を叱る(罰する)という考えです。

これに「内面化をサポートすること」を加えます。
いじめが起こる前の段階の話です。

もちろん、最も重要なのは、被害者の保護です。
次に、加害者を作らないための教育が必要です。

これには、親の協力が必要です。

親の協力を得る

いじめをする子は、内面化の問題によって、将来、反社会的な行動をする可能性があります。
内面化は、社会で生きるのに必要なスキルです。

この問題が一般的に認識されると、「いじめをしない子を育てる」ということが重要だと、当事者意識が芽生えます。

いじめた側の親は、いじめ問題に非協力的な場合があります。
すでに起こったことに対して、非を認めるのが難しいからです。

しかし、内面化の問題を知ることで、親は子どもの教育に、新しくエネルギーを使うことができます。

いじめる側の問題を知る

まとめると、いじめる側には、内面化の問題があります。

この認識が広まれば、親にも当事者意識が芽生え、「自分の子がいじめをしていないか」という心配をするようになります。
今までは、「いじめにあってないか」を心配する親が多かったのですが、「いじめをしてないか」という感覚が発生します。

いじめられる側の社会的スキルを心配する人は多いと思います。
しかし実際は、いじめる側にこそ、社会的なスキルが不足しています。

日本での現状

日本では、いじめ防止対策推進法が2013年に執行されています。[※]

学校側に隠蔽などの問題があったからです。

アメリカでは、ゼロ・トレランス方式が採用され、日本でも一部で検討されています。[※]

すでにゼロ・トレランス方式が採用されているアメリカでは、その効果や問題が議論されています。

いじめは、大昔から人類が抱える問題です。
いじめ対策が進む一方で、SNSが普及して、いじめが起きやすい要因も増えています。

新しい研究報告が出てきたことで、今までと違う視点が見つかりました。