【優先順位の科学】どうして後回しにするか?

優先順位の科学&後回しを辞める

やるべきこと(タスク)をするには、避けて通れない問題があります。

  • 重要だけど、期限が長い仕事
  • 期限が短いけど、重要ではない仕事

この2パターンが問題を起こします。

とくに「重要だけど、期限が長い仕事」が要注意です。
なぜなら「後回し」をするからです。

この後回しは、期限の長いタスクで起きます。
例えば「夏休みの宿題」や「次年度の計画書類」などです。

考えて見ると、不思議です。
期限が長いほど、効率の良い計画を考えつくはずです。

それができないのは、私たち人間が持っている特性にあります。

彼は会社から帰った後、小説を書こうと決めています。
そして年内には書き終えたいと思っています。

しかし、優れた脚本のドラマが放映されていて、つい見てしまいます。
さらにLINE、ツイッター、インスタグラムのタイムラインを見ます。
さっきのドラマの感想をツイッターに書きます。

小説を書くのは、明日に決めました。

そして最悪なのは、あきらめてしまうことです。

心理学の視点から、このような「優先順位のトラブル」について説明します。

緊急性効果

心理学の研究は、緊急性(期限)と重要性が、どのように「後回し」を引き起こすのかを見つけました。
2018年の論文ですから、最近のものです。[※]

この論文のタイトルは、「単なる緊急性効果」です。
あえて「単なる」と書いているのは、驚くほど単純だからです。

人間は目の前の仕事が好き

単なる緊急性効果

前述の研究報告では、「緊急性」「重要性」「報酬」など、様々なパターンで実験が行われました。

報酬が低いタスクは、重要ではありません。
もちろん、お金にならないからです。

しかし、重要ではない仕事であっても、緊急性が高くなると、人々は積極的に行動しました。

論理的とは言えない行動です。
緊急性が低くても、報酬が高い仕事を選ぶ方が合理的だからです。

このように緊急性は、合理的な判断を失わせます。

忙しい人ほど緊急を選ぶ

普段、忙しいと感じている人ほど、緊急性効果は強くなる傾向も見つかっています。
常に「緊急なものを選ばないと……」というプレッシャーがあるからです。

やはり人間には、余裕が必要です。

なぜ重要ではないのに優先するか?

これは古来の人間生活を見ると、簡単です。

古来の人間は、狩猟をして食糧を確保します。
明日は大雨が降って、狩りができないかもしれません。

そんなときに、道具の手入れをしている場合ではありません。
晴れているなら、今すぐ狩りをする必要があります。

道具が壊れれば、狩りができないので、メンテナンスも重要です。
しかし、それ以上に食糧がなくなるのは、危険です。

このように、緊急性は最優先されます。
緊急性がなければ、危険に対して無防備になるからです。

狩りをする前に狩りの練習をする余裕はありません。

マーケティングで使われる緊急性効果

緊急性効果を利用したマーケティングは、身近にたくさんあります。

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このように緊急性を追加するだけで、私たちはプレッシャーを感じます。
そして冷静な判断を失います。

重要でなくても、緊急性を優先してしまいます。

後回しを辞める方法

前述の研究が示すように「重要だけど、今すぐやらなくて良い」というのは、難しい意思決定です。
本能に逆らう必要があります。

それでは「後回しを辞める方法」は、存在するのでしょうか?

緊急性効果を意識する

ひとつは、先ほどの「緊急性効果」を意識することです。
緊急性効果は、合理的な判断を邪魔します。

計画を立てる前は、冷静になって未来を見てください。

  • 「もし、この行動をずっとしなければ、どうなりますか?」
  • 「もしくは、行動をすれば、どうなっていますか?」

この2つを自ら問いかけることで、合理的な判断ができます。

人間は本能に従って、自動的な意思決定をします。
自動の意思決定は、合理的ではありません。

緊急性を除外して判断する

行動を選ぶ前に、緊急性を除外してください。
緊急性を除外したときに、正常な判断ができるようになります。

タスクを小分けにする

タスクを分割して緊急性効果を利用する

大きな目標を達成するには、タスクを小さく分けるのが一番です。

この方法は、「緊急性効果」を逆に利用しています。
例えば夏休みの宿題を、毎日するのと同じです。

タスクを小分けにすると、ひとつのタスクに緊急性ができます。
つまり、納期が短くなります。

なるべく日々のルーチンにして、小さな目標を達成してください。
(大きな目標を見ないようにします)

環境を制限する

スマホを別室に置くだけで、スマホを制限できます。
同じように、テレビやゲームなどの娯楽を遠ざけてください。

「日曜日だけ」といった時間制限も有効です。

何もない部屋に閉じ込められると、嫌いなことですら、自らやるようになります。
小説家や脚本家などが、ホテルにこもって仕事をするのと同じです。

緊急性が高くて、重要でない仕事をやめる

最後に「緊急性が高くて、重要でない仕事をやめる」という方法があります。
単に辞めるのも良いですが、外注するという手があります。

例えば、ルンバのようなロボット掃除機を購入することで、掃除の時間を減らせます。

緊急性効果に勝つ

緊急性効果に勝つのは、非常に難しいことです。
しかし、上記のような方法で、いくつか対抗できます。

緊急性効果は、人間の本能です。
本能に従って生きれば、同じく本能のまま生きている人と同じになります。

頭ひとつでも抜き出るためには、この緊急性効果に打ち勝つ必要があります!