ルーチン(ルーティン)とは、毎回決まった行動をすることです。
ほとんどの人は、朝起きて、ルーチンの行動をします。
顔を洗い、朝食をとり、歯を磨いています。
ルーチンをする意味は、意思決定をしないことです。
多くの人は、意思決定が疲れると思っていません。
ルーチンの本質は、意思決定を省略し、他の行動に投資することです。
やりたくないことも、ルーチン化すれば、できるようになります。
ルーチンワークは、マンネリのシステムを使って、行動するのです。
マンネリになっていくので、やる気を必要としません。
目次
意思決定は疲労する
アメリカのオバマ元大統領や、Appleのスティーブ・ジョブズは、同じ服を着ることで有名でした。
彼らは、「服を選ぶ」という意思決定を省略します。
その代わり、他の行動や、意思決定に力を注ぎます。
服装をルーチン化する
たくさんの服を買う人がいます。
服がたくさんあれば、どんな組み合わせも自由自在です。
しかしデートの日、何を着れば良いのか迷い、疲労してしまいます。
服選びに疲れるのであれば、相手を喜ばせることについて、考えた方が上手くいきます。
意思決定だけで、人は疲労するのです。
これは、材料が多すぎるからです。
たくさんの材料から「一番おいしい料理を作ってください」と言われると、誰もが悩むでしょう。
心理学では、認知バイアスのひとつで「情報バイアス」と言います。[※]
情報バイアスは、不要な情報でも、必要だと思い込む現象です。
とにかく数だけ集めてしまいます。
これでは、意思決定に苦しむだけです。
前述のように、たくさんの服を買うと、逆に迷ってしまいます。
楽しむか省エネかのトレードオフ
ずっと同じ服を着ることは、意思決定を省略できます。
しかし、ファッションを楽しむことはできません。
結局は、トレードオフの関係にあります。
デートの服選びから解放されれば、相手を喜ばせる計画が立てられるかもしれません。
もし「同じ服を着ている」と、誰かに言われたら、スティーブ・ジョブズの話をしても良いでしょう。
「わざと同じ服を着ている」と、言い返せば良いだけです。
意図して同じ服を着ているのですから、恥ずかしいことはありません。
ルーチン化でマンネリを受け入れる
朝から意思決定をして、疲れるのは避けたいことです。
そのため、多くの人は、朝の行動をルーチン化させています。
重要なのは、「朝食もルーチン化されている」ということです。
私たちは、毎日、同じパンを食べることができます。
考えてみると不思議です。
夕食は、同じものを食べないからです。
ここに、ルーチン化の秘密が存在します。
マンネリを利用する
なぜ、朝は同じパンを食べても、飽きないのでしょうか?
これは、人間が持つ「マンネリ」というシステムです。
ルーチン化が良いのは、マンネリを受け入れることです。
進んで退屈なことをする人は、いません。
しかし、ルーチン化すると、退屈なことでも受け入れることができます。
毎朝、同じパンを食べるのと一緒です。
マンネリとは、退屈を受け入れる人間の特性だったのです。
また、朝の時間帯は、ルーチン化がしやすくなります。
そのため多くの人は、朝にルーチンを行います。
- 朝のジョギング
- 朝の勉強
- 朝の部活動
これは、非常に強力な自己改革の方法です。
上手くルーチン化できれば、退屈でつまらない勉強も、毎日できるようになります。
朝の時間帯は、ルーチン化しやすいので、ぜひ試してみてください。
以下の記事では、「マンネリとは何か?」を解説しています。
意思決定が疲れることを認識する
「意思決定が疲れる」というのは、ピンとこない人も多いでしょう。
例えば、クルマなどの高額な商品を購入すると、分かりやすいです。
後悔を回避したい
高額な商品では「後悔したくない」という思いが強くなるので、意思決定が複雑です。
販売員は、最初に高めのクルマをオススメしておいて、次にコストパフォーマンスの良いクルマを紹介します。
買う側の「後悔回避」を利用するのです。
コストパフォーマンスが高いと、「お得な買い物をした」という心理になります。
そして、クルマを購入した直後、オプションの購入を奨めます。
カーナビやオーディオなどです。
あなたは、クルマを購入した段階で、意思決定に疲労しています。
すでに疲れているので、本当にオプションが必要かを見極めることができません。
疲れて正しい判断ができなくなる
「一緒に買うとお得だから」という理由で、あっさり買ってしまいます。
「本当にそれが価格に見合って必要か?」ということは、疲れていて考えたくないのです。
このような事例は、頻繁に起こるので、注意が必要です。
毎日のように、細かい意思決定をすれば、大きな意思決定に匹敵するほど疲れます。
オバマ大統領が同じ服を着るように、それは回避できる疲労です。
ルーチンをしない人の特徴
心理学の研究によると、ルーチンをしない人の特徴があります。
不思議なことに、「経済的に苦しい人ほど、ルーチンをしない」という研究報告があります。[※]
この研究では、1週間、朝食の計画を立てるように求められました。
ほとんどの人は、曜日ごとに違うヨーグルトを選択しました。
一方で、毎日、朝食を選ぶように言われた人たちは、同じ種類のヨーグルトを選ぶ傾向にありました。
お気に入りを選び続けたのです。
つまり、ルーチンに入れば、マンネリが苦にならないことを示しています。
この研究は、ルーチンをしない人に注目しました。
ルーチンの習慣がない人を調べたところ、経済的に苦しい人が多かったのです。
経済的に苦しい人ほどルーチンをしない
なぜ、経済的に苦しい人は、ルーチン化しないのでしょうか?
この研究では、その理由に仮説を立てています。
それは「普段、意思決定をしないため、小さな意思決定を好む」という仮説です。
つまり「意思決定をしなければ、意思決定をしたくなる」という人間の心理です。
また、普段の生活をコントロールしていないとも、考えられています。
上手く生活をコントロールできている人ほど、ルーチンに従うことができるのです。
しかし、何もかもルーチン化すれば、人生が退屈です。
したがって、バランスが大切です。
五郎丸さんのルーティン
ラグビーの五郎丸選手がしていたルーティンを覚えていますでしょうか?
「五郎丸ポーズ」と言われ、ルーティンの言葉も流行しました。
ルーティンは、他のスポーツでも、頻繁に見ることができます。
バスケットボールの選手は、フリースローをする前に、3回ドリブルをします。
「おまじない」ではない
いくつかの研究において、スポーツ選手のルーチンは、成功率をアップさせることが分かっています。
集中力が上がるので、「手元が狂う」という失敗を防ぎます。
身体動作をして、自分をマインドコントロールしているのです。
これは、ベッドで寝転がると、自然に眠くなるのと似ています。
身体を構えると、脳にスイッチが入るのです。
五郎丸選手のルーチンは、集中力のために行う「儀式」です。
それは、おまじないレベルではなく、実際に効果があります。
ジャンケンをする前に手を組んで、祈る人がいます。
ジャンケンのように、運で決まることに対して、ルーチン儀式は、意味を持ちません。
これは、科学的なルーチンではなく、単なる「げんかつぎ」です。
インプットをルーチン化しない方がよい
インプットをルーチン化するのは、注意が必要です。
朝の会社で、新聞を読んでいる人がいませんか?
新聞を読むのは、生産的ではありません。
消費するものに対しルーチン化すると、しなくても良い消費ができてしまいます。
つまり、新聞の場合だと、読まなくて良い内容まで、(ルーチン化してるので)読んでしまうのです。
とても非効率です。
集中力が切れたとき、気分転換に新聞を読むぐらいで十分でしょう。
このように、何もかもルーチン化すると、悪い習慣になってしまいます。
何をルーチン化するべきか、選ぶ必要があります。
バランス良くルーチンを使う
バランス良くルーチンを使えば、作業効率をアップさせることができます。
やりたくなくても、できるようになります。
最大のメリットは、意思決定を省略して、別のことに労力を使えることです。
人間が一日にできることは、限られています。
ルーチン化することで、一日を有効に使えます。
しかし、バランスは大切にしてください。
何もかもルーチンに従えば、不要な行動を増やします。
スポーツのルーチンとは違う
スポーツ選手のルーチンとは、性質が異なるのを知っておくと良いでしょう。
スポーツ選手のルーチンは、集中力アップに有効です。
日常生活に役立てるのであれば、集中力をアップさせる儀式をしてください。
日曜日でも、顔を洗い、服を着替えると、集中できます。
机に向かい、椅子に座れば、スイッチが入ります。
勉強をルーチン化する
勉強をルーチン化させるには、朝の時間帯が適しています。
朝から意思決定をするのは、誰もが嫌だからです。
そして毎日、ルーチンを続ければ、マンネリを受け入れることができます。
毎朝、歯を磨くのと同じように、勉強にも取り組めるようになります。