あなたが大好きな音楽に出会った時のことを思い出してください。
サビの部分が、頭の中で何度もリピートします。
何回でも聴きたいと、感じるでしょう。
好きでたまらない感情に包まれます。
しかし、100回聴いた後は、どうでしょうか?
素晴らしい音楽に出会った頃の興奮は、すでにありません。
どんなに好きな体験であっても、人間の脳は、マンネリになるようできています。
なぜ、私たちには、マンネリというシステムがあるのでしょうか?
また、どうすれば良いのでしょうか?
今回は、マンネリについて分かりやすく解説します。
![30回ぐらい聴くと脳内でも再生できるようになる](https://tabilens.jp/wp-content/uploads/2019/09/music.png)
目次
マンネリがある理由
マンネリとは、刺激に対する「慣れ」です。
引っ越しをしたり、学校に入学したとき、最低でも1週間は、刺激であふれます。
新しいものを、脳が認識しているのです。
1度でも視覚に入れば、脳に保管されます。
次からは、記憶を取り出すことができます。
この記憶を取り出すのが、想像という行為です。
そして想像ができれば、刺激がなくなるのです。
予測ができれば、刺激になりません。
これは、理にかなっています。
新しい環境に、慣れるためです。
いつまでも、ときめいていたら、キリがありません。
新しい環境に、誰もが不安を持ちます。
そのまま不安が続けば、新しい環境に適応できません。
「慣れ」は、不安を消す機能でもあります。
このように「慣れ」は、変化や環境に対応するためにあります。
![慣れは、不安を消します。](https://tabilens.jp/wp-content/uploads/2019/09/lonely-heart.png)
大人になると時間が早く感じる理由
子どもの頃は、はじめて見たり、聞いたりすることであふれます。
インプットされる情報量が多いのです。
大人になれば、このインプット量が少なくなります。
脳が補完するからです。
子どもの頃は、視覚情報のインプット量が多いので、脳の処理も多くなります。
情報を処理する量が多いと、時間が遅く感じるのです。
緊急時に処理が増える「走馬灯」と、同じ理論ですね。
年齢を重ねると、視覚処理が遅くなります。
これが時間を早く感じさせる要因です。
マンネリを利用する方法
マンネリには、良いマンネリがあります。
それは、面倒なことをマンネリ化させる方法です。
といっても私たちは、自然にそれを行っています。
最も身近な例では、「歯磨き」「お風呂」「掃除」などです。
「習慣化」とは、マンネリ現象なのです。
面倒でもずっと続けることで、マンネリ化して、面倒ではなくなります。
むしろ「しないと気持ちが悪い」という不快感すら出てきます。
これは人生において、非常に重要なことです。
練習やトレーニングをマンネリ化させて、感覚を鈍らせることができます。
マンネリは、成功要因だったのです。
まさに「継続は力なり」です。
![歯みがきのような習慣はマンネリするので苦になりません。](https://tabilens.jp/wp-content/uploads/2019/09/dentifrice.png)
マンネリを防ぐ方法
前述の通り、マンネリは悪いことではありません。
とはいえ「素敵な体験を新鮮な気持ちで、もう一度したい」というのは、私たちの願いです。
ゲームや映画などで「記憶をなくして、もう一度やりたい」という声もよく聞きます。
心理学の研究者は、マンネリを防ぐ簡単な方法を見つけました。
オハイオ州立大学による研究報告です。[※]
実験にはポップコーンを食べるために、68人の参加者が呼ばれました。
そのうち、34人の参加者は通常通り、手で食べます。
残り半分の参加者は、箸を使ってポップコーンを食べました。
箸を使ってポップコーンを食べたグループは、楽しんだだけでなく、いつもよりポップコーンが美味しく感じたのです。
食べることに没頭する
マンネリ状態で食べるよりも、別のアイデアで食べた方が、ものごとに集中することができます。
集中すればするほど、食べ物の味を感じることができます。
これは「テレビを見ながら食事をすると、味を楽しむことができない」という現象と同じです。[※]
- 飲食店にテレビを置くことは、おそらく悪い施策です。
応用例
上記の実験内容は、応用することができます。
物事に集中できる体験を増やしてください。
引っ越しをしたばかりのトキメキは、完全には戻らないかもしれません。
しかし、部屋を模様替えしたり、ソファなどの家具を移動するだけで、新しい体験ができます。
通学路・通勤路を変えてみましょう。
これらは、脳の情報処理を増やすので、結果的に時間を遅く感じることができます。
![いつもと違った食べ方をすると集中できて新鮮な体験になります。](https://tabilens.jp/wp-content/uploads/2019/09/mannerism-experience.png)
そもそも「飽きないもの」がある
マンネリは「新しい環境に適応するためにある」と、冒頭で述べました。
様々なことに、慣れるためにマンネリがあるのです。
しかし、マンネリしないものがあります。
他人に与える行為は飽きない
以前の研究報告で「寄付が快楽を生む」ということが見つかっています。[※]
寄付や他人への奉仕は、与えた側の気分を良くします。
「情けは人の為ならず(自分に報いが返ってくる)」ということは、科学的にも正しかったのです。
さて、寄付や他人への奉仕は、もうひとつの特性があります。
それが「飽きない」ということです。
心理学の研究報告です。[※]
実験の参加者らは、毎日500円を渡されます。
片方のグループには、「好きなことに使って良いが、同じことに使う」という条件が加えられます。例えば「コーヒーに使うなら、毎日コーヒーに500円使うこと」という条件です。
そしてもう片方のグループは、個人や団体に500円を毎日寄付してもらいます。
この実験では、自分のために500円を使ったグループは、日ごとに幸福感・満足感が低下しました。
一方で寄付に使った人は、幸福感や満足感の低下が見られませんでした。
「他人に何かをしてあげる」ということは、幸福や快楽を得ることができます。
しかも、ずっと続くのですから「他人への奉仕」は、特別な行為です。
心理学の研究は、奉仕がマンネリしないとを見つけました。
寄付の心理は、以下の記事にあります。
![](https://tabilens.jp/wp-content/uploads/2019/09/donation-160x90.png)
最後に
マンネリには、ネガティブなイメージがあります。
しかし、マンネリは新しい環境に慣れるためのシステムです。
さらに、マンネリを上手く利用すれば、習慣化になります。
習慣化(ルーティン化)の方法は、以下の記事にあります。
![](https://tabilens.jp/wp-content/uploads/2019/05/routine-160x90.png)
逆に、悪い習慣を辞める方法は、以下の記事です。
![](https://tabilens.jp/wp-content/uploads/2019/06/bad-habits-160x90.png)
大人よりも、子どもの方が鋭い感覚を持っていると言われることがあります。
何度も同じ経験をすると、脳は視覚や感覚を補完します。
例えば水族館で、アザラシの写真にアシカと書かれていた場合、視覚で判断している子どもの方が、間違いを見つけやすいのです。
大人になるほど、視覚を補完しているので、水族館が間違えることはないと思い込むのです。
マンネリ現象は、これに似ています。
マンネリを防ぐ手は、ものごとに集中できる環境を作ることです。
今までと別の方法で、マンネリ化した物事に挑めば、自然と新しい体験になります。
これが人生のスピードを遅める方法でもあります。
![](https://tabilens.jp/wp-content/plugins/tkama_gtag-finish-read/images/tkama_gtm-spacer.gif)