寄付をする意味と、SNSで公表する意味

寄付の科学

芸能人や経営者が、募金したことをツイッターで報告します。

これに対して、売名行為と批判する人もいます。
もちろん、それは寄付した本人のみが知ることです。

少数派の声が大きくなる法則もあります。
SNSでは、多数派を可視化するのが難しいからです。

さて、募金を公表すると、どうなるのでしょうか?
私たちは、募金を公表するのが「良いのか」「悪いのか」を知りたいのです。

さらに、科学的に見て、寄付とはどのような行為になるのかを解説します。

寄付を公表すると、その精神が広がる

SNSは、何のためにあるのでしょうか?
人間社会は、他人と協力することで成り立っています。

SNSは、「協力する」という社会的な行動を進化させるのでしょうか?
こういった議論は、昔からありました。
そこで心理学の実験をしたのが、プリンストン大学(アメリカ)の研究者らです。[※論文]

以前の研究では、友だちや家族が「善意の行動」をしたとき、自分も影響されることが知られていました。
善意の行動」とは、人助けや寄付などです。

身近な関係(コミュニティ)だと、「善意の行動」は、広がりやすいのです。

しかしSNSは、赤の他人とも繋がっています。
言うならば、弱い繋がりです。

この研究報告では、この弱い繋がりが、どのように影響するかを検証しています。

SNSでも善意は広がりやすい

研究に参加した人たちは、赤の他人です。
良好な関係を維持する必要は、最初からありません。

それにも関わらず、この実験では、善意の行動をする人がいると、まるで伝染するように善意の行動が広がりました。

ひとりの善意は、全く知らない第三者にまで、影響しました。

まるで、他人のあくびが伝染したかのようです。

あくびのように、善意が人々の行動まで伝染したのです。

協力的な行動が伝染するというのは、他の研究においても報告されています。[※]

ただし、注意すべき点があります。
それは、悪意のある行動までも、伝染してしまうことです。

公表するメリットは高い

前述が示す研究のように、募金のような善意行動は、公表することで広がる可能性が高くなります。
単純に、寄付を見たことで、気づかせてくれる場合もあります。

したがって、公表するメリットは高いでしょう。
それでも選択権は、自分自身になります。

寄付をすると、幸せを感じる

寄付については、有名な研究があります。
それは、「寄付をすれば、報酬系の神経活動が活性化される」という研究です。[※]

簡単に言えば「寄付をすれば、気持ちが良くなる」ということです。

喜ぶことで、脳が活性化する場所があります。
この部分が、寄付や親切行動をすることで、活性化するのです。

その後の調査でも、寄付は幸福度を高めることが分かっています。[※]

これらの研究が示すのは、寄付をする意思決定です。
この意思決定は、長期的にも幸福度を高めます。

意外なことは、モノにお金を使うと、短期的な幸福度しか得られないことです。

いくら寄付すれば良いか?

寄付の金額は、 非常に悩むところだと思います。

受け取る相手は、あなたの財布に「いくら入っているか」を知りません。
少額だと、ケチと思われないか心配になります。

この長く考える行為に、実は悪い影響があるのです。

ハーバード大学の研究者らは、寄付金を決定するまでの時間が長いほど、 寄付の金額が少なくなることを発見しました。[※]

人間は、考えれば考えるほど、自己の利益を優先するようです。

これを逆に考えてみましょう。
何も考えなければ、本当の意味で適切な寄付ができるのです。
研究者らが「即決してください」と言うと、寄付する金額は上がりました。

このようなことから、寄付は即決が良いと考えられます。

まずは財布の中身を見ましょう。
そして、「何も考えずに」寄付する金額を決めてください。

寄付や募金の注意点

上記以外で、寄付や募金の気になることや、注意点があります。

近年、地球温暖化が進むにつれて、台風などの被害が拡大しています。
皮肉にも、悪い環境に対応するため、人間社会は次々に知恵を共有しています。

以前と比べて、より多くの議論と情報があります。

人的被害が大きいと、一人当たりの寄付金が増える

アメリカでの大規模調査によると、人的被害が大きいと、一人当たりの寄付金が増えると判明しています。[※]

しかし、注意も必要です。
人的被害が少なくても、食糧や水の不足は、緊急の援助が必要な場合があります。

このあたりは、正しい情報を得ることが大切です。

マッチングミス

募金が難しい人は、労働力を提供することができます。
実際に労働力は、高いお金と同等の価値があります。
ですから、労働力の提供は、誇りに思って良いでしょう。

募金もボランティアも難しい場合は、物資を送ることができます。

しかし、物資は気をつけてください。
近年、必要でない物資が届き、スペースを圧迫しているケースがあります。

物資を送る場合は、自治体やボランティア団体のホームページなどで、何が必要かを事前に調べましょう。

節税ができる

寄付金は、確定申告で申請することができます。

海外の有名な大富豪が、巨額の寄付をする際も、節税は関わっています。
もちろん節税だけが目的ではなく、実際に寄付金は多くの人を援助します。

詐欺や勧誘に注意する

災害が起きたときは、誰もが不安に襲われます。
テレビなどで被害状況を見たとき、あなたは今すぐ助けたいと思うでしょう。

このとき、人の心は外部からの影響に弱くなります。
脆弱(ぜいじゃく)になると言えます。

おそらく詐欺師は、このことを知っているでしょう。
また悪意がないにしても、災害の後に勧誘を受けるかもしれません。

ですから、不安になった時は、意思決定が弱くなることを知っておいてください!

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