なぜ、私たちは他人の真似をするのでしょうか?
人間は、社会的な生き物です。
社会的になるため、真似が必要でした。
そのため、真似は社会学習と呼ばれます。
昔、子どもに携帯電話のオモチャを渡すと、会話をしている真似をしていました。
もちろん、電話の向こうには誰もいないので、動作を真似ているだけです。
最近だと、どうでしょうか?
会話の真似ではなく、タッチで操作する真似をするかもしれません。
今回は、真似について、分かりやすく説明します。
知っておくと、実際の生活に役立ちます。
目次
人間は(意味のない)真似をする
人間もチンパンジーも、真似をすることで、学ぶことができます。
ところが人間は、意味のない真似をします。
人間の幼児と、チンパンジーで行った有名な研究報告があります。[※]
この研究では、お菓子の入った箱と棒を用意します。
棒を叩いてから、箱を空けるように見せるのです。
「棒を叩く」という行為は、全く意味のないものです。
チンパンジーの方は、棒を叩く行為に意味がないと分かると、その行為を辞めて箱を開けます。
一方で幼児は、常に棒を叩いていたのです。
年齢を重ねると、人間はどうなるでしょうか?
面白いことに、いくらか(大人でさえも)は、棒を叩いてから箱を開けます。
人間は、意味のない行動でも、真似をするのです。
なぜ真似をするのか?
真似をする行為は、心理ではなく、本能に近いと言えます。
私たちは、エアコンが部屋を冷やす原理を知らずに、生活しています。
一方で、原始時代では、道具を作る必要がありました。
弓を作るには、ひとつひとつの工程をコピーする必要があります。
コピーを重ねることで、技術が受け継がれていきます。
現代では、このコピー技術によって、航空機やスマートフォンまで作ることができました。
つまり、真似をするほど、人間は豊かになり、世界を支配するようになったのです。(他の動物と比べて、人間の数は圧倒的に多いのです)
極論ですが、チンパンジーが人間より真似が上手ければ、逆転していたかもしれませんね。
社会を作るために真似をする
私たちは、合理的でない行動をします。
祈りを捧げたり、瞑想をすることには、精神面を改善させる効果があるかもしれません。
それでも、てるてる坊主や、北枕を嫌うことに、合理的な理由がありません。
なぜ、合理的な理由なしに、真似をするのでしょうか?
それは、コミュニティを作るためです。
やはり、人間は社会的な生き物です。
真似をしすぎてしまう
真似をすることは、人間にとって重要でした。
コミュニティを作ったり、技術を発展させるのに、真似が必要だったのです。
一方で、チンパンジーによる実験の通り、過剰に真似をするのが人間です。
これは、少数意見を無視する可能性があります。
特に人間は、問題が大きいほど、少数意見を無視してしまいます。
これは、他人の真似をしすぎるからです。
真似は楽しくて、社会的な関係を築くことができます。
一方で、別の方法があることに、気づかないのです。
真似をされると好きになる
昔から知られているように、真似をすることで、他人との関係を築くことができます。
真似をすることで、好きになってもらうことができるのです。[※]
真似を活用する
真似をする行為は、自分で止めるのが困難です。
したがって、意識するだけでは、真似を止めることができません。
そうなると「他人の真似をするのが人間」という考え方を、受け入れた方がラクです。
つまり、真似をする価値のある環境に、身を置くことです。
自動的に真似をするので、他人の悪い習慣も、吸い込んでしまうのです。
なるべく理想とする環境に、自分の身を移してください。
真似をしやすい人の特徴
研究報告によると、真似をしやすい人には、特徴があります。
それは、外向的(社交的)な人です。[※]
理由は、単純でした。
外向的な人は、他人に好かれることを優先するからです。
現実では、「自己をしっかり持っている」という人が賞賛されます。
しかし「それが本当に良いか?」ということについて、疑問が残ってしまいます。
他人と違うことが、もてはやされる時代です。
しかし、それが正しいかは、まだまだ分からないことです。
人類は、真似をすることで、ここまで発展したのです。
最後に
真似をする行為は、学習に必要です。
口で説明するより、実際にやって見せた方が分かりやすくなります。
それは、人間が真似をする行為に、優れているからです。
チンパンジーやミツバチは、人間ほど、全てを真似しません。
ところで、オウムはどうでしょうか?
オウムは、電子レンジの「チーン!」という音を、真似することがあります。
単に面白くて真似をしているのか、必要があって真似をしているのか?
まだまだ解明されていません。
しかし、電子レンジが鳴ると、人間は電子レンジに移動します。
もしかしたら、オウムはあなたを呼んでいるのかもしれませんね。