オーディエンス効果とは、他人に見られると、能力が高まる現象です。
見られるだけでなく、一緒にいるだけで作業効率が上がります。
一人で走るより、ライバルと走った方が、良い記録になります。
これは、誰もが知っているでしょう。
ライバルである必要は、ありません。
他人に見られるだけです。
これらの現象は、社会的促進と呼ばれます。
社会的促進のうち、見られることによるものがオーディエンス効果(観客効果)です。
人間は、社会的な生き物だから「集団に入ることで、能力が高くなる」ということでしょうか?
実は違います。マウスにも、オーディエンス効果が認められています。[※1]
アリは、集団の方が、巣を掘るスピードが3倍も速くなります。[※2]
誰かに見られると、やる気が継続する。
今回の認知バイアス集は、誰にでも経験がある「オーディエンス効果」について説明します。
目次
オーディエンス効果の発見
オーディエンス効果は、1898年、ノーマン・トリプレットによって発見されました。
誰にでも経験があるだけに、100年以上前に認知されています。
ノーマン氏は、自転車を一人で漕ぐより、誰かと競争した方が、良いタイムになることを見つけました。
そのあと子どもにお願いして、釣り糸を巻き上げるスピードを計測しました。
やはり、単独よりもペアの方が、釣り糸を速く巻き上げることができました。
ペアの子どもは、お互いが競争していません。
「競争のない状況でも、能力が高くなる」という点に注目してください。
逆のオーディエンス効果
あなたは、周囲の期待が大きすぎたり、監視されているとき、ミスをしたことがないでしょうか?
オーディエンス効果には、逆のパターンが存在します。
例えば、作業を監視されるときです。
ミスをしたら、怒られるような状況では、能力が発揮できません。
これを「社会的抑制」と呼びます。
社会的促進の逆です。
社会的抑制も、認知バイアスのひとつです。
オーディエンス効果を使う方法
![一緒に登山](https://tabilens.jp/wp-content/uploads/2020/01/mountain_climbing.png)
オーディエンス効果を正しく使えば、能力を高めることができます。
また、モチベーションにもなります。
ケースごとに、オーディエンス効果を使う方法を紹介します。
運動や筋トレ
運動も筋トレも、普通に考えると一人で行えます。
しかし、それではモチベーションが続きません。
誰もが薦めるように、スポーツジムには、オーディエンス効果があります。
スポーツジムに通うことは、最も優れたモチベーション管理の方法です。
もし、一人で出来ないのは、自分の心が弱いからと思うかもしれません。
それは、認知バイアスを甘く見すぎています。
オンライン・トレーニング
ここに来て、スポーツジムの未来が変わりつつあります。
それは、オンライン・トレーニングの登場です。
世界中の人と、対戦したり、協力することで、モチベーションが続きます。
もともとオンライン・ゲームにあったオーディエンス効果をトレーニングに利用できます。
任天堂のリングフィット アドベンチャーにも、オーディエンス効果の要素があります。
もし、筋トレやダイエット目的のDVDが放置されているなら、オーディエンス効果のせいかもしれません。
外に出る
単に運動だけであれば、外に出ることをオススメします。
たくさんの人が皇居を走り、自転車で運動をしています。
これらは、オーディエンス効果によって、モチベーションの継続を助けます。
勉強、スキルアップ
勉強や、スキルアップの学習はどうでしょうか?
昔から、よく図書館が利用されていました。
図書館は静かなだけでなく、オーディエンス効果もあるからです。
もちろん、塾に行くのも有効です。
最近では、コワーキングスペースもあるので、大人も学習をするのに使えます。
世の中に共用スペースが増えたのは、社会的促進によるものです。
子どものいる家庭
![家事をする人](https://tabilens.jp/wp-content/uploads/2020/01/housework.png)
家庭では、子どもが勉強しているか気になるでしょう。
ここでも、オーディエンス効果が使えます。
子どもの勉強中は、家事をするなど、何かしらの作業をします。
子どもが勉強しているのに、親が娯楽を楽しんでいると、オーディエンス効果になりません。
そのため、勉強する時間帯は重要です。
また、長男・長女は、オーディエンス効果により、能力を発揮できる場合があります。
これは、責任感が強くなるからです。
しかし、プレッシャーにもなるので、気をつけましょう。
会社生活
上司が同じ部屋にいる場合、オーディエンス効果は、プラスにもマイナスにも働きます。
伸び伸びと仕事ができた方が、能力を発揮できることもあるからです。
パワハラのある職場は、もちろんマイナスにしかなりません。
今後について
ライバルの存在で記録が伸びるのは、誰もが知っていると思います。
オーディエンス効果は、多くの人に経験があります。
しかし、意図的にオーディエンス効果を利用する人は少ないです。
工夫次第で、能力が発揮できたり、学習効果が高くなります。
インターネットは、オーディエンス効果を助けます。
今後は、オンライントレーニングや、オンライン学習に組み込まれると予測できます。
一人でやるより、誰かとやれば、やる気が出る。
とても単純です。
オーディエンス効果を意識すれば、生活に役立てることができるでしょう!
参考文献
- Evidence for an audience effect in mice: male social partners alter the male vocal response to female cues
- Social Facilitation of Eating Behavior in Armadillos
- Social facilitation
![](https://tabilens.jp/wp-content/plugins/tkama_gtag-finish-read/images/tkama_gtm-spacer.gif)