朝型vs夜型(クロノタイプとは?)朝型の生活が良いは間違い?

朝型生活と夜型人間

私たち人間は、昼に行動する生き物です。

そのなかでも「朝が得意な人」、「夜が得意な人」がいます。
科学では、この違いをクロノタイプと言います。

つまり、もともと朝の得意なタイプがあるのです。

しかし、世間に広まっているのは「朝型の生活が良い」という認識です。
これは、ビジネス書を見ても分かります。
ほとんどのビジネス書では「作業効率の良い朝を活用しよう」と書かれています。

これは事実でしょうか?

最近の科学的な研究によって、少しずつ見えてきました。
夜型が悪いとは限りません。

朝型・夜型タイプとは?

4つのクロノタイプ

朝型・夜型(クロノタイプ)は、有名な精神科医、エミール・クレペリンによって、発見されました。
そこから100年以上が経過し、朝型・夜型だけではなく、その中間にもクロノタイプが存在していることが判明しています。[参考文献※1]

主なクロノタイプは、朝型、夜型、午後型、昼寝型の4つです。
この分類には、眠気が大きく関わっています。

私は夜型人間なので、午前中は眠気との戦いです。
そして、夕方以降は、午前中の眠気が嘘のようになく、覚醒しています。

クロノタイプの研究は、まだまだ進んでいません。
あるには違いないのですが、もともと眠気を測るのは難しいことです。

もし、午前中に納期が差し迫っていたなら、誰もが覚醒するでしょう。
追い詰められると、眠気を感じなくなりますよね。

そこにクロノタイプは関係ありません。
睡眠に関しては、科学的な研究が難しいジャンルなのです。

また、朝型・夜型どちらにも属さない人もいます。[参考文献※2]
午後型、昼寝型以外でも、ずっと覚醒している人や、常に一定の眠気がある人もいるのです。

各タイプで作業効率の良い時間帯は?

クロノタイプ別パフォーマンスの高い時間帯

朝型・夜型タイプでは、生産性の高い時間帯がそれぞれあります。
研究報告から、タイプ別に作業効率の違いを見ていきましょう。[参考文献※2]

朝型人間は、午前9時から午前11時

朝型人間は、AM9時〜AM11時の時間帯でパフォーマンスが上がります。

午後からは、時間が経つにつれて、眠気が発生します。
夜になると、非常に眠くなります。

また、別の研究では、パフォーマンスのピークはAM8時です。[参考文献※3]

夜型人間は、午前10時から

夜型人間は、AM10時まで眠気に襲われます。
しかし、AM10時以降は、パフォーマンスが上がります。

夜の眠気は、PM10時以降にやってきます。

また、別の研究では、パフォーマンスのピークはPM8時です。[参考文献※3]

午後タイプの人間

午後タイプの人間は、朝が最も苦手です。
AM11時まで、眠気に襲われます。
その後、PM5時までは覚醒しているので、パフォーマンスが高くなります。

昼寝タイプ

このタイプの人は、昼寝をするから、昼寝タイプに分類されるわけではありません。
眠気が曲線のように、2度にわたって襲ってきます。

AM11時までは、パフォーマンスが高いです。
しかし、PM3時をピークに、強い眠気がやって来ます。
その後は、徐々にパフォーマンスが回復します。

どうやって自分のタイプを調べるか?

前述にもあるように、眠気が来る時間帯で分かります。
ただし、忙しい時は眠気がないので、状況にもよるでしょう。

また、先ほど紹介した4つのタイプ以外にも、クロノタイプは存在します。
したがって、特定するのは難しいと言えます。

現在、まだまだクロノタイプの研究は進んでませんが、そのうち明らかになるでしょう。

今後は、テクノロジーの進化によって、自分のタイプを調べることができるかもしれません。

AI分析でタイプを知る

パソコンのカメラを使って、表情をAI分析する技術があります。
この技術が一般的に広まるのは、まだまだ先ですが、将来的には可能です。

カメラから得た表情を分析すれば、個人のクロノタイプが分かります。

これらの技術は、おそらく大企業の現場から導入されるでしょう。
また、バスやトラックの運転手にも必要かもしれません。

技術を正しく使う必要がある

すでに、人間の表情をAI分析する技術が開発されています。
これにより、人間のパフォーマンスを測定することができます。

この技術は、正しく使われる必要があります。
クロノタイプへの理解がない人が、従業員の監視目的に使うのは間違いです。

あくまで、従業員にクロノタイプを伝え、企業は柔軟な勤務形態を提供するべきです。
科学的な研究を正しく利用することで、人間社会はより良くなります。

朝型生活に変えることができる

夜型タイプとはいえ、深夜の2時〜3時に寝るような生活だと、健康に不安があります。
これは、体内時計の崩れが、健康リスクの大きな要因だからです。

研究によると、およそ3週間程度で朝型人間に変わることができるそうです。[参考文献※4]
朝型タイプに変える方法は、以下の条件を続けることです。

  • 就寝時間と起床時間を早める
  • 朝食を摂る(体内時計に関わる)
  • 朝は日光の下に移動する
  • 就寝前にブルーライト(スマホ・テレビ)を見ない

この研究報告によると、朝型人間に変わることで、幸福感が増すという結果が出ています。
また、眠気の改善も報告されました。

こう見ると、朝型タイプは夜型タイプよりも、メリットに恵まれています。

クロノタイプ戦略の使い方

前項のように、人間には朝型・夜型だけでなく、4つ以上のクロノタイプが存在します。

これらの研究を有効活用するには、どうすれば良いでしょうか?

朝型の人は、誰もが言うとおり、朝の時間帯を有効活用するのが良いでしょう。
他人より早く起きることで、目標達成に近づきます。

夜型の人は?

夜型の人は、午後や夜にパフォーマンスが高くなるので、勤務形態が選べるとベストです。

また、午前中に眠いからと言って、栄養ドリンクに頼らないようにしましょう。
ほとんどの場合、栄養ドリンクを飲む必要はありません。

適度なカフェインの入ったコーヒーや、緑茶などがオススメです。

朝に眠気が来るのは、夜型タイプなら当然です。
あまり気にする必要もありません。

娯楽の時間をずらす

夜型の人は、午後から夜に掛けて集中力が高くなります。
そのため勉強など、急がないタスクを集中力が高い時間帯に振り分けると良いでしょう。

ここで問題になるのが、休息の時間です。
ゲームや映画など、娯楽の時間をクロノタイプで調整する必要があります。

朝型の人は、何も考える必要はありません。
20時以降、集中力のない時間帯で、ゲームや娯楽を楽しめます。

そう考えると、朝型人間は、メリットが多いと気づきます。

本当にやるべきことは、集中力の高い時間にして、娯楽の時間帯をずらせば、生活の効率が良くなります。

今後の社会は?

今後の社会は、まずクロノタイプの理解が必要です。
勤務時間をずらすことができれば、満員電車も緩和できるでしょう。

ただし、夜型の人がいるからと言って、夜勤が推奨されるわけではありません。

人間は、夜行性の動物とは違います。
体内時計が崩れるような勤務形態は、健康リスクがあります。

野球選手などは困る場合も

特定の職種に限って、クロノタイプが邪魔をすることがあります。
例えば野球選手です。

学生時代は、昼に試合をするので問題ありません。
プロになると、ナイターがあるため、朝型の人は運動パフォーマンスが落ちます。

このように、時間帯によって、能力が影響してしまうのです。

クロノタイプを知ろう

自分のクロノタイプを知ることで、効率の良い時間を選ぶことができます。

しかし残念なのは、社会の理解が追いついていないことです。
本を読めば、ほとんどが朝型の生活を推奨しています。

ですから、クロノタイプだけでなく、睡眠障害についても、社会に広めることが必要です。

また、クロノタイプやショートスリーパー(睡眠時間の少ない人)に限らず、7時間以上の睡眠は必要です。
睡眠時間が短いと、生産効率は下がりますし、何より健康リスクがあります。

まずは睡眠時間を大事にしながら、作業効率の高い時間帯を見つけましょう!

参考文献

この記事は以下の文献を参考にして、独自の解釈でまとめています。

  1. There is more to chronotypes than evening and morning types: Results of a large-scale community survey provide evidence for high prevalence of two further types Author links open overlay panel
  2. There is more to chronotypes than evening and morning types: Results of a large-scale community survey provide evidence for high prevalence of two further types
  3. The effects of time of day and chronotype on cognitive and physical performance in healthy volunteers
  4. Resetting the late timing of ‘night owls’ has a positive impact on mental health and performance