テレビや雑誌では、よく節約術が紹介されています。
お金を使わないのは、実質お金が手に入るのと同じです。
非常に魅力のあるコンテンツなのでしょう。
節約術の中には、「買い物は現金を使う」という方法があります。
「お金が減る」という不安感を利用しているのです。
これは、昔から心理学にもあります。[※]
クレジットカードやギフトカードを使うよりも、現金で支払った方が苦痛です。
逆にクレジットカードを使うと、より無駄づかいをしてしまうのです。
したがって、現金は節約に優れていると言えます。
ところで節約をする目的は、何でしょうか?
もちろん、お金を貯めることだと思います。
しかし、お金が増えることは、節約よりも魅力的です。
そうなると、心理学は逆の答えを教えてくれます。
あなたにとって本当の味方は、どちらでしょうか。
現金ですか、それとも電子マネー?
目次
お金を増やしたいなら現金を使わない
現金とクレジットカードでは、現金の方が神経を使うので疲れます。
この疲れが節約を生むのです。
しかし、心理学の新しい研究では、それが良いとは限らないことを示しています。
むしろ将来的には、マイナスです。
現金が衝動的にする
心理学の研究者らは、現金とクレジットカードが意思決定に与える影響を見つけました。[※]
実験の参加者らは、パズルをクリアすると、500円がもらえます。
ただし、現金で500円をもらうグループと、電子マネーで500円をもらうグループに分けられます。
ここからが実験のポイントです。
研究者は、両方のグループに、取引を持ちかけます。
「いますぐ500円を受け取るか、1週間後に700円を受け取るかを選んでください」
電子マネーのグループは、現金のグループと比べて、700円を選ぶ人が30%ほど多かったのです。
つまり現金は、心理的に投資がしにくいのです。
我慢できるかを調べる
上記の研究では、投資できない要因が「現金の性質」にあるのか、それとも「人間の心理」にあるのかが分かりません。
そこで、研究者らは追加の実験をしています。
現金のグループには、ヘルメットの利点など、将来の不安を軽減する製品について、文章を書いてもらいました。
これで長期的な目標や、将来について考えるクセがつきます。
そうすることで、700円を選ぶ人が一気に増えました。
やはり電子マネーの性質ではなく、現金が人間の心理を変えたのです。
この実験は、我慢を測定するマシュマロテストに似ています。
「我慢とは何か?」「我慢できない人はどうすれば良いのか?」という記事は以下にあります。▼
現金と電子マネーの心理を知ろう
現金は、長期的な投資を邪魔します。
前述の研究が示す通りです。
短期的な節約はできても、長い目で見ると損をします。
クレジットカードで無駄使いをする
入ってくる現金は、衝動的になりやすい分、出ていく現金は、不安になりやすいのです。
クレジットカードであれば、出て行くお金は、不安を軽減します。
つまりクレジットカードは、ついつい無駄づかいをしてしまうのです。
そして電子マネー化は、消費を促進します。
景気を上昇させることができるのです。
心理的な影響を考えると、政府も電子マネー化を進めていくでしょう。
そうなれば、誰も気づくことなく、無駄づかいをしてしまいます。
ですから大切なことは、心理的な影響を知り、それぞれのメリットを上手く利用することです。
現金は商品の満足度を高める
商品を現金で購入すると、商品に愛着がわきます。
これは、心理学の研究で発見されました。[※]
商品の愛着を測るには、その商品を譲ってもらえる金額を調べれば可能です。
実験の参加者らは、現金で購入した商品ほど、高い値段を付けました。
現金と電子マネーでは、明らかに心理的な影響があったのです。
あなたにとって大切なものは、Amazonより、実店舗で現金を使って買うのが良いでしょう。
マーケティング担当者はどうすれば?
これらの実験結果は、企業のマーケティング担当者にとって複雑です。
電子マネーで無駄づかいをしてもらうか、現金で商品を大切にしてもらうか、迷うことでしょう。
もちろん、私たち消費者には、関係がありません。
電子マネー決済をするなら、無駄づかいをしないように、警戒するだけです。
給料と現金の話
インドでは、ほとんどの給料が現金払いです。
不思議なことに、現金払いの国では、ウェイターやコック、清掃業の割合が増えます。
どの国でもそうですが、現金払いの職業は、肉体的に厳しい傾向があります。
賃金が少なく、退職の可能性も高いのです。
そういった環境面から、投資にお金を使うのが難しくなります。
我慢と給料
月給と日払いでは、やはり日払いの方が、労働環境も過酷になりがちです。
「日払いだから過酷」なのか、「過酷だから日払い」なのかは気になります。
「日払い現金」は、人間の心理に大きな魅力をちらつかせます。
労働者が魅力に負けて、過酷な環境や、少ない賃金を受け入れている可能性があります。
しかも、自分で気づきようがない心理です。
隠れたデメリットを知ることが大切
現金、クレジットカードには、それぞれメリットとデメリットが存在します。
それらは、心理的なもので、気づくことができません。
ですから、知ることが大切です。
メリット・デメリットを知った上で、意思決定をすれば、より上手にお金を使うことが出来ます。
お金持ちほど現金を持ち歩かないのは、気のせいではないのでしょう。
お金持ちは、投資を好みます。
決して節約が正しいとは限りません。
投資に目を向けることで、より良い生活ができます。