私たちは、新年の目標をすぐに忘れてしまいます。
そんな失敗経験から、紙に書いたり、あとで見返すよう工夫をします。
それでも、達成できません。
どうすれば、目標を達成できるのでしょうか?
実は、根本的な間違いがあります。
この記事では、新年の目標を立てるのに、新しい提案をします。
また、目標が達成できない理由と、その心理的なダメージについて説明します。
正しい目標設定とは、何でしょうか?
目次
目標が達成できない科学的な理由
いったい何が原因で、目標を達成できないのでしょうか?
このような疑問から、目標と努力を研究する実験が行われました。[※研究報告]
目標を決める時、人は「リターン(報酬)の大きさ」から選択します。
必要な努力量を無視する傾向にあるのです。
ところが、いざ始めようとすると、今度は努力量しか頭にありません。
このとき、リターン(報酬)の大きさは、頭の中からなくなるのです。
結果的に、努力をやめてしまいます。
布団から出られないのと同じ
研究者らは、分かりやすい例えを使って説明しています。
「毎朝、運動をして痩せる」という目標があったとします。
しかし、いざ目が覚めると「布団から出るか出ないか」という考えしかできなくなります。
「痩せる」という目標が頭の中からなくなるのです。
リターンの大きさより努力量が大切
この研究報告は、何を意味するのでしょうか?
そもそも目標を決めるとき、リターンの大きさから選んではいけません。
リターンではなく、必要な努力量から目標を決めてください。
そして、いざ努力が必要になったときは、リターン(報酬)を頭に入れてください。
とても単純なトリックですが、心理学の研究は、目標を達成するコツを教えてくれます。
「やりたいことだけ」を目標にする
多くの人は、新年の目標を以下のように設定します。
- 「お酒をやめる」
- 「5kg痩せる」
- 「毎朝、ジョギングをする」
- 「毎月、一定額の貯金をする」
しかし、上手くいきません。
なぜなら、「習慣」を変える目標だからです。
習慣は、年が変わったぐらいでは、変えられません。
苦痛をともなうので、自然と避けてしまいます。
これは誰もが同じです。気にしなくても大丈夫です。
具体的な目標を設定しない
具体的な目標は、達成が難しいだけです。
例えば、以下のような目標です。
- 「5kg痩せる」
- 「リーダーに昇進する」
「具体的な目標ほど良い」というのは、間違っている可能性があります。
もっと良い目標があるからです。
それは、学習の目標です。
「5kg痩せる」ではなく、ダイエットの方法を学ぶ方が優れています。
低カロリーの食事や、太りにくい食材を学ぶのです。
結局、目標を達成するには、勉強するのが一番です。
目標設定より、学習することが優れているという研究報告は、こちらです。[※]
目標を捨てると慣れてしまう
習慣を変える目標には、害があります。
達成できなかったとき「自尊心」が傷つくことです。
ここでの自尊心とは、自分を肯定する感情です。
自分を変えようとして、失敗すれば、心に傷を負ってしまいます。
さらに、目標を達成できないことに、慣れてしまいます。
目標は、自分との約束です。
目標を捨てると、次から約束を破るのに、慣れてしまいます。
新年の目標は「ぬか喜び」になる
新年の目標を設定することは、楽しいと感じます。
なぜなら「目標を達成した自分」を想像できるからです。
しかし、実際に達成できなかったとき、心が傷つきます。
これは「自分に負けることの苦痛」です。
人が設定する目標のほとんどが、非現実的です。
それに気づかず、「達成できる」と、自分を課題評価しています。
この一連の流れは、文化に関係なく、誰もが体験することです。[※]
まずは、実現可能かどうかを確認することが必要です。
年始の目標設定は「やりたいこと」
年始の目標は、習慣を変えるのではなく、「やりたいこと」を設定するのが一番です。
以下のように、一度だけの挑戦で構いません。
- 「沖縄旅行に行く」
- 「富士山に登る」
- 「屋久島の縄文杉に会いに行く」
- 「自転車で県外に出る」
- 「文化祭でステージに上がる」
これらのように「やること」を設定してみてください。
そして、具体的なスケジュールを決めます。
道具を揃えたり、航空券やホテルの予約など、計画することはたくさんあります。
習慣を変えるような「苦しい目標」よりも、一度チャレンジする「楽しい目標」の方が、精神的に救われます。
そして、習慣を変えるよりも、ずっと簡単です。
目標ではなく質問をする
さらに強力な方法があります。
「目標ではなく質問をする」という方法です。
- 「どうすればお酒をやめられますか?」
- 「どうすれば5kg痩せられますか?」
- 「どうすれば毎朝ジョギングができますか?」
質問は非常に強力な手法です。
また、質問は自分に返ってきます。
目標を立てるだけでは、そこで終わる可能性があります。
しかし、質問をすれば、より具体的な行動を決めることができます。
具体的に行動をして、結果が未達成であれば、より良い別の案を考えれば良いのです。
習慣を変える科学的な方法
習慣を変える唯一の科学的な方法は、if-thenルールです、
if-thenルールとは、「もしXが起こったら、私はYをする」という自分のルールです。
if-thenルールは、現代の心理学において、最も確実な方法です。
アクセスのしやすさ
次にアクセスのしやすさを工夫してください。
カロリーの高い(魅力的な)食品が近いと、人は吸い寄せられます。
遠いか、近いかだけで、自分の意志が変わってしまうのです。[※]
会社のビルにドーナツ屋さんがあれば、ドーナツを食べる量が増えます。
一方でスポーツジムがあれば、運動する量が増えます。
アクセスのしやすさを利用するのは、if-thenルールの次に強力です。
また、置き換えるのも有効です。
もし、甘いお菓子を辞めたいのであれば、手の届く場所には、ダークチョコレートを置いて下さい。
達成できない時は?
達成が困難と感じたときは、「なぜ」で質問をしてください。
これは目標を変えずに、行動と計画を修正する方法です。
行動が難しくても、目標に近づくことができます。
新年から悪い習慣を変えるには?
悪い習慣をやめて、良い習慣に切り替えることができれば、人生は変わります。
新年から変わりたいのであれば、少なくとも1ヶ月は必要です。
できれば「11月」から、目標を実行するテストをしてください。
そして、2週間続くか、チャレンジをしてください。
この2週間のテスト期間に、悪い習慣をやめることができれば、新年の目標を達成することができます。
もしくは、類似した目標でも、達成が容易になります。
2週間で達成できないときは、「どうして達成できなかったか?」を探します。
原因を探して、再チャレンジをしていきます。
こうして失敗と挑戦を繰り返すことで、悪い習慣をやめることができます。
自分で「大丈夫」と判断したものを、新年の目標にします。
悪い習慣をやめるコツ
悪い習慣をやめるには、コツがあります。
それは「環境を変えること」です。
お酒をやめるのであれば、お酒の購入を控えます。
購入するのが辞められないのであれば、販売店に近づかないようにします。
「毎朝ジョギングをする」というのは、難しいかもしれません。
代替え案を検討するという手もあります。
ジョギングは有酸素運動です。
有酸素運動は、室内でも可能です。
筋肉を付けたり、より効果を求めるのならば、通勤を自転車にすることもできます。
やる気が起きないのであれば、会費を払って、ジムを利用します。
いつでも目標に向かうことができる
年が変わると、みんなが新年の抱負を設定します。
新年に豊富を作るのが、習慣になっているからです。
目標は、いつでも立てることができます。
そして、すぐに実行することができます。
新年という区切りは、モチベーションを上げるのに役立ちません。
いつでも、目標を設定して、ゴールに向かうことができます。
やる気おみくじ
目標達成を支援するアプリを作りました。
自分で報酬を設定し、その報酬に向かって努力できるツールです。
このアプリは、インストール不要でブラウザから使用できます。
最後に
新年の目標を立てた直後、誰もが変われた自分を想像して、気分が良くなります。
しかし、達成できなければ、心にダメージを受けます。
目標を安易に決めると、自分を裏切ることになります。
ほとんどの人は、心理的なダメージのリスクを考えず、目標を決めています。
そして、知らないうちに自分を傷つけます。
物理的な傷と違って、それは見ることができません。
目標が達成可能か、ぜひテストをしてみてください。
可能であれば、新年という区切りを待たず、目標に向かって行きましょう!