コミュニケーションの苦手な人が、むりやり社交的になると、どうなるのでしょうか?
外向的になりたいと言っても、これを決意するのは、誰もが難しいかと思います。
しかし、最新の研究によって、そのメリットが大きいことが分かっています。
社交的に振る舞うのは幸福
もともと内向的な人が、社交的に振る舞うと、何が起こるかを調べた研究報告があります。[※]
この研究は、2019年9月と新しいですが、以前の研究でも似たような報告がありました。
ただし今回は、期間が長く、対象人数も多くなっています。
実験の参加者は、以下のように振る舞うことを求められました。
- 多くしゃべる
- はっきりと言う
- 自ら進んで話す
1週間後、コミュニケーションが苦手だった人は、全体的に気分が良くなり、幸福感を報告しました。
一方で、もともと社交的な人も、実験に参加しました。
社交的な人は、ムリヤリ内向的に振る舞いましたが、何も影響しませんでした。
内向的な性格の人だけ、社交的に振る舞うことで、幸せな気分になったのです。
また、内向的な人が、もっと内向的に振る舞うと、ネガティブな気分になりました。
この実験は、コミュニケーションの苦手な人の悩みを解決できるかもしれません。
内向的な人は、そのまま内向的だと、ネガティブな感情になり、外向的に演じると、ポジティブな感情を得られるのです。
コミュニケーションが苦手だと悩む必要はありません。
誰でも積極的に話をすることができるのです。
その経験は、あなたの気分を良くします。
この研究では、社交的な振る舞いにメリットがあるだけでなく、「誰もが社交的に振る舞うことができる」ということを教えてくれます。
人間は、社会的な行動を促進する
前述の研究を見ると、分かることがあります。
私たちは、社会的な行動を促進するようにできているのです。
人間は、小さな生き物ではありません。
しかし、基本的な身体スキルは、低いスペックです。
(逃げる足も遅く、握力もそれほどない)
そして、危機に対する本能も、相当低いと見られています。[※]
- 人間の赤ちゃんは、高い場所が危険だと分かりません。一方で、カルガモの赤ちゃんが川に降りられないのを見たことがあると思います。
人間は、本能のスペックが低いからこそ、どんな環境にも適用できたのです。
個々の能力は低いため、他人同士で助け合う能力が必須だったのです。
気分が良くなる意味
私たちは「社会的な行動は、生存に必要」ということに、自分で気づくことができません。
そのため、「気分が良くなる」という行為があるのです。
大多数の個体は、気分が良くなる行動を選びます。
注意点
もちろん、気分が良くなることが正しい行動とは限りません。
砂糖やアルコールは、一時的に気分を良くします。
このような物質を人間が見つけたのは、進化の過程で想定外だったのでしょう。
身近にある改善のケース
子どもの頃は、内気な性格だった人。
しかし、大人になって、社交的な性格に変わった人が、身近にいないでしょうか?
営業など、人と接する職業になって、性格が変わった人も多いかと思います。
心理学では、「根本的な性格特性は、変えることができない」という説が有力です。
性格とは、地層のようなものです。地層の表面だけが変わったように見えるのです。
ですから「自分を受け入れた上で、どのように過ごすか」という考え方が大切です。
私はWEB系の仕事をするようになって、お客さんと打ち合わせが多くなり、コミュニケーションの苦手が改善されました。
それまでは、事務仕事がメインだったので、積極的になる必要がなかったのです。
したがって、同僚と先輩に好かれるかどうかが大切でした。
それがいつのまにか、パーティーの場だったり、打ち合わせに行くようになって、積極的に会話する必要が出てきました。
会話では、以下のように気をつけています。
- 天気の話をしない
- あらかじめ情報を仕入れておく
- 仕事に関する情報を提供する
天気の話をしないのは、単に会話が続かないからです。
「天気の話をしてはいけない」というのではありません。
実際に、天気の話を「つかみ」にしている人もいます。
「そういえば…」と言って、会話が続く話題にすれば良いだけです。
また、あらかじめ情報を探しておくと良いでしょう。
仕事の情報であれば、提供することで相手から喜ばれます。
したがって、仕事に関する話題を常にインプットしておけば良いのです。
そうしておけば、間違いなくコミュニケーションに慣れます。
あとは「嘘を付かない」「お礼を言う」など、普通のことを心掛ければ良いだけです。
何かあっても、素直で真面目であれば、自分に非がある確率もなくなります。