情報フレーミングとは、言い回しが変わるだけで、判断に影響してしまう認知バイアスです。
同じ条件なのに、言い回しが変われば、行動も変わってしまいます。
例えば、2種類のヨーグルトがあります。
脂肪分80%カットのヨーグルト
脂肪分20%のヨーグルト
2種類のヨーグルトは、全く同じものです。
それなのに、「脂肪分80%カット」というポジティブな表現を選びます。
特にダイエットを気にしている人には、効果的です。
脂肪分を避けようとするので、「80%カット」という表現に惹かれます。
写真のフレーミングは、被写体のどこを切り取るかで、全く違う印象が得られます。
情報フレーミングも同じです。
どこに焦点を当てるかで、人の判断を変えてしまいます。
手術すれば、9割の確率で治る。
手術しても、1割の確率で治らない。
得をするより、損をする方が、強い印象になるのです。
そのため、損を表現すると、誰もが避けるようになります。
目次
情報フレーミングを役立てる方法
私たちは、言葉に左右されます。
ある国の軍隊では、「退却」という言葉が使えません。
「後方に移動して、戦闘領域を改善せよ」という指示を出します。
言葉は、文化であり、人間を操作します。
だからこそ、言葉が文化なのです。
教育やコーチング
教育では、ポジティブな表現を使ってください。
(九九で)2の段が言えるようになったね
周囲が九九を全段言えたとしても、このように自信を与える言葉を使います。
10回に1回は、狙った場所に打てるようになったね
これは、「まだ10回に1回しか、狙った場所に打てない」という言い回しより、モチベーションになります。
リフレーミングを使う
この認知バイアスを利用するには、ネガティブな表現を、ポジティブに変えることです。
心理学では、リフレーミングと言います。
仕事でミスをしましたか?
それは、ミスではなくフィードバックです。
ミスする方法を発見したのです。
このように、リフレーミングを使えば、仕事に対して、ネガティブな印象を与えません。
全体の雰囲気も良くなります。
自分の仕事に悪い印象を持つと、効率も悪くなってしまいます。
修理保証と保険
火災保険や、クルマの保険は、万が一があるので、必要なものです。
失った場合の損害が大きすぎるからです。
一方で家電の修理保証は、どうでしょうか?
「壊れた場合」というネガティブな状況を想像させます。
また、SNSで検索すると、「壊れた」という情報であふれます。
これは、「壊れてない」という投稿を誰もしないためです。
修理保証は、買い替えるタイミングや、使い方によって、決めるべきです。
頻繁に買い替える人は、不要な場合があります。
年齢にも影響する
大人は子どもよりも、情報フレーミングの影響が大きくなります。[※]
これは経験が増えることで、予測ができるようになるからです。
経験に頼り過ぎて、頭が固くなってしまうのです。
情報フレーミングを防ごう
この認知バイアスは、食品のCMやラベルでも、よく使われます。
企業は、買ってもらえるキャッチコピーを使って、商品を売ろうとします。
政治家は、情報フレーミングを使って、たくみに人を操作しようとします。
軍隊の予算を増やすとき、敵対国の脅威を伝えるか、それとも災害・救助の役割を伝えるかで、支持層が操作されます。
情報フレーミングの作戦を見抜き、逆説を考えてください。
- 別の商品を試した場合、どうなりますか?
- その金額を払わないプランだと、どうなりますか?
- なぜ、逆の言い回しをしないのですか?
これらを自分に問うことで、情報フレーミングの罠から抜け出すことができます。