天気予報では、「天気が悪い」という言葉を使いません。
雨が好きな人もいるからです。
一方で雨が嫌いなのは、実用的な理由がほとんどです。
雨に濡れる不快感や、傘が荷物になるといったのもあります。
雨が嫌いな人にとっては、「雨が好き」という感覚が分からないかもしれません。
最近、心理学の研究によって、「雨が好き」という理由が分かってきました。
そこで現在、考えられる「雨が好き」「雨が嫌い」という感情をまとめてみましょう。
目次
「雨が好き」は、懐かしさを感じる
心理学の研究者らは、「悪天候がプラスの感情を引き起こすかもしれない」という仮説を立てました。
「雨は、懐かしい気持ち(ノスタルジック)になる『引き金』にならないか?」という疑問からです。
もちろん「なつかしい気持ち」は、プラスの感情を引き起こします。
そこで実験の参加者らに、「雨の音」や「実際の天候」が、感情にどう影響したかを調査しました。[※]
そして研究者らは、雨が懐かしい気持ちを引き起こすことを見つけました。
雨の音
最初の研究では、実験の参加者らに、悪天候の音だけを聞かせました。
「雨」「雷」「強風」の音は、懐かしい気持ちを増やしました。
雨の音は、昔から心を落ち着かせる効果があると知られています。
広い周波数を持つので、他の音を打ち消します。
いわゆるホワイトノイズです。
ホワイトノイズは「母親の胎内にいるときの音」に似ています。
そのためか、リラックス効果があります。
最近では、ホワイトノイズを発生させるアプリや、ヘッドフォンが人気です。
人工的に雨の音を作るほどですから、人間にとって心地良いのでしょう。
天気が与える心理的な効果
もうひとつの実験では、実際の天気が与える心理的な影響が調査されました。
ここでも、悪天候によって「懐かしい気分」を感じる心理的な影響が見つかりました。
やはり、雨や風などの天候が「懐かしい気持ち(ノスタルジック)」になる引き金となったようです。
雨は、懐かしさの感情を引き起こします。
そして、次の心理効果があります。
- 自分に対する自信の回復
- 社会的なつながりを感じる
- ポジティブな感情になる
- 楽観的になる
雨の匂いは心地良い
都会から離れると、雨の匂いを感じることができます。
森林だと、それは圧倒的に心地良い香りです。
雨の匂いは、微生物から発生します。
この匂いは、人間だけでなく、他の動物たちも好むようです。[※]
雨が降ったあとの森林浴は、素晴らしい感覚に包まれます。
雨が好きになるかもしれません。
雨が嫌いな心理
雨が嫌いな理由は、実用的なものが多くあります。
雨に濡れたり、荷物が増えるなどです。
他には何があるでしょうか?
いくつか考えられる事があります。
低気圧は頭痛を引き起こすか?
「低気圧が頭痛を引き起こす」という話は、日本の研究によって広まりました。
日本のドラッグストアで「気圧が低い日に、頭痛薬が売れている」というデータが見つかったのです。
しかし、頭痛の要因は様々です。
「天気が頭痛を引き起こす」と、断言はできません。
オーストラリアの研究調査では、「疑わしい」という結論になっています。[※]
一方で「低気圧が頭痛を引き起こす」という研究も、たくさん報告されています。
「雨の日だから頭痛になる」と、思い込まないようにしたいものです。
セロトニン
幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンという物質があります。
セロトニンレベルが高くなると、気分が良くなります。
セロトニンは、太陽光の下で生産されます。
「太陽の光を浴びた方が良い」と言われる理由のひとつです。
セロトニンの低下は「うつ病」と関係すると言われていますが、決定的な証拠にまでは至っていません。
日照時間が短いと、うつ病になりやすいと言われますが、「関係はない」という逆の知見もあります。[※]
いずれにしても、太陽の下は、単純に「気分が良い」ということです。
結論
心理学の研究が示すように、雨の天気は、なつかしい気持ち(ノスタルジック)にさせる効果があります。
ポジティブな記憶は、よりポジティブに上書きされます。
そのため、ノスタルジックなアイテムは、人々を魅了します。
昔の映画、昔の楽曲などを好む理由のひとつです。
雨の日、外に出なければ、これらのメリットが良い心理効果を生みます。
もちろん外に出れば、雨に濡れたり、傘が邪魔だったり、ジメジメした不快感を受けるでしょう。
一方で、晴れの日には、一度でも外に出ることをオススメします。
人間が古来からそうしてきたように、それは現代でも変わりません。
結局のところ、バランスです。
雨の日は、雨の音に耳を向けるのも良いでしょう!