あなたはクジ引きで1等を当てました。
そして、このように思います。
「運を使い果たした」
これは、よくある勘違いです。
なぜなら、未来に起こる確率は、過去に影響しないからです。
コインのオモテ/ウラを当てるゲームがあるとします。
3回連続でコインのオモテが出ると、誰もが「次はウラが出る確率が高い」と、思い込みます。
しかし、実際の確率は50%です。
確率は過去に影響しません。[※]
- たくさんのコインを投げるほど、確率は50%に近づきます。
そして私たちは、50%の確率が「均等に配分される」と、誤解しています。[※]
しかし、実際にランダムのプログラムを組むと、片寄りが発生するのです。
- 10回コインを投げて、オモテ/ウラが5回ずつ出る確率は、25%です。意外に少ないことが分かります。
この片寄りを感じなくなるには、数千回以上、クジを引くことです。
30:70なら片寄っているように見えますが、4,8000:5,2000なら、均等に見えるでしょう。
しかし、後者は4,000も差があるのです。
ですから、幸運と不運が交互に起こる方が、珍しい現象と言えます。
良いことが起こった後には、悪いことが起こるかもしれない。
今回は、このネガティブな思考について解説します。
目次
ネガティブバイアス
ネガティブな思考は、強く残ります。
これは、人間以外の動物でも普通のことです。
動物でも、危険な目にあった場所は、警戒して避けるようになります。
人間であれば、過去にイヤな経験があると、それを警戒します。
ネガティブなことは、ポジティブなことよりも、ずっと強く行動を縛るのです。
これをネガティブバイアスと言います。
ネガティブバイアスは、様々なシーンに身を潜めています。
例えばニュースです。
毎日のニュースは、ネガティブなトピックスであふれています。
ポジティブなニュースは、受けが悪いからです。
これまでの研究では、ネガティブなニュースほど、消費されることが判明しています。[※]
これらの研究は、ネガティブな思考が、当たり前であることを示しています。
したがって、自分がネガティブ思考だと、悩む必要はありません。
ネガティブな思考を「当然のもの」と、認識する方が精神的には良いでしょう。
ネガティブ思考は3歳から始まる
ネガティブな言葉は、
人間は、3歳ぐらいを境目に、ネガティブな言葉に注意を払うようになります。[※]
3歳までは、ポジティブな言葉と、ネガティブな言葉を平等に扱います。
しかし、3歳以降は、ネガティブな言葉に強く反応するのです。
3歳ですから、ちょうど記憶が生成される時期です。
つまり、ネガティブな思考は、記憶と関係していることが分かります。
ネガティブ思考が強い人
ネガティブ思考が強い人は、否定的な経験を多くした人です。
これは前述の研究のように、ネガティブ思考が記憶と強く関係するからです。
結局のところ、否定的な経験から学ぶように、私たち人間は作られているのです。
一度経験してしまうと、行動は制約されます。
動物が危険な経験をした場所に、近寄らないのと同じです。
こうして「新しく行動ができない」という負のスパイラルに落ちます。
しかし、新しく行動をしなければ、良い経験に上書きができません。
この認識がないため、ネガティブ思考がますます強くなります。
少なくとも、何も経験していなければ、新しく行動することができます。
これらは、企業が未経験者を採用する理由のひとつです。
経験のない人ほど、新しいことを覚えるのが得意で、チャレンジすることができます。
ネガティブ思考を改善する方法
ネガティブ思考は、人間にとって自然なことです。
しかし、ネガティブとポジティブのバランスが崩れたとき、「新しく行動ができない」という問題を引き起こします。
このままでは、負のスパイラルに落ちてしまいます。
しかし、心理学の研究によって、ネガティブ思考を改善する方法が見つかっています。[※]
それは、ポジティブな「見返り」を書き出すことです。
あなたが「行動を起こした後の見返り(もしくは報酬)」を認識する必要があります。
例えば、サークルやコミュニティへの参加に、迷ったときです。
過去、対人関係でイヤな経験をしたならば、積極的になることが難しくなるでしょう。
それがネガティブ思考です。
ネガティブ思考は、過去に目を向けて、未来を無視します。
未来に起こるかもしれない「良い出来事」を紙でもパソコンでも良いので、書いておくのです。
そうすることで、積極的な性格になれます。
この方法は、ネガティブとポジティブのバランスを修正します。
ポジティブを優勢にするテクニックです。
こういったことは、本能に逆らうことですから、他の動物よりも、人間は得意です。
人間が持つ言語の能力を使います。
ネガティブ思考は歳を取ると少なくなる
興味深いことに「ネガティブ思考は、歳を取ると少なくなっていく」という研究報告があります。[※]
これは、認知能力の低下ではありません。
単純に、若い頃は経験が少なく、ネガティブな脅威に敏感だからです。
ネガティブ思考の役割
最後に「ネガティブ思考の役割」というのを知っておくと、これからの人生でも役立つでしょう。
ネガティブな思考は、危険察知の能力です。
それは、あなたの準備力をアップさせます。
それ以上のことはありません。
人間の本質として「そういう能力が備わっている」ということを覚えておくだけです。
それよりも、未来の「見返り」に期待します。
ポジティブな未来を想像し、行動計画を立てます。
紙に書くと、より強く効果的です。
これらの心理的効果を利用して、ポジティブとネガティブのバランスを取ると良いでしょう!