アインシュテルング効果とは、「経験が邪魔をして、問題解決ができない」という認知バイアスです。
すごく簡単なことで、悩んだ経験はありませんか?
難しく考えすぎて、単純な解決方法なのに、見つからないことがあります。
会社でも、ベテラン社員が新人の発想に驚くことがあります。
このように、過去の経験が、新しいアイデアを発想させないことがあります。
思考の偏りを生んでしまうのです。
アインシュテルング効果は、ちょっと読みにくいですが、人生において非常に重要な認知バイアスです。
目次
アインシュテルング効果の発見
1942年、有名な心理学者アブラハム・S・ルチンズの実験によって、アインシュテルング効果は見つかりました。
ルチンズが行ったのは、実験の参加者らに「数式を使って10の問題を解いてもらう」というものでした。
図の通り、やや難しい数式Aで解けます。
ただし、イジワルがあります。
問題8だけ、数式Aが通用しないのです。
そして、問題6〜10は、簡単な数式Bで解くことができます。
つまり、この実験のポイントは以下です。
問題6からは、より簡単な数式Bに気づけるか?
多くの人は、数式Bに気づかず、問題8で手こずりました。
過去の経験(問題1〜5)が、より良い発想を邪魔したのです。
アインシュテルング効果を防ぐ方法
アインシュテルング効果は、柔軟な発想をジャマします。
基本的には、ない方が良い認知バイアスです。
そうは言っても、これがなければ、判断に時間が掛かりすぎます。
人間が生きるためには、素早い決断が必要です。
生きることを優先とすれば、必要な認知バイアスだったのでしょう。
問題は、アイデアをジャマすることです。
豊かに生きるためには、アインシュテルング効果を防ぐことです。
忘れると創造性が高くなる
最近の研究報告によると、アインシュテルング効果を防ぐには、忘れることです。[※1]
前述の研究報告でも、問題5〜10のみであれば、とても簡単でした。
忘れるのが上手い人ほど、創造性のテストは優秀です。
ひとつのことに打ち込むほど、エキスパートに近づくでしょう。
しかしそれは、創造性と逆方向に作用します。
睡眠をとる
昨夜、あれほど悩んだのに、今朝になると解決できた。
よくあることですが、実は科学的な話です。
睡眠を取ることで、記憶が整理されるからです。
簡単に言うと、睡眠は記憶の掃除です。
掃除された状態であれば、見つからなかった発想が見つかります。
また、寝ることができない状況であれば、気晴らしをしてください。
別分野の人とコラボレーションする
会社において、別分野の人は、重宝されます。
新しく柔軟な発想を取り入れることができるからです。
「新しい風を吹かせる」という言葉があるように、別分野の人と協力することです。
実は、万能に見えるAIも、これが苦手です。
他の分野とコラボレーションできるのは、人間だからかもしれません。
認知バイアスを知る
アインシュテルング効果は、認知バイアスの中でも、比較的簡単に防ぐことができます。
それには、やはり認知バイアスを知ることが大切です。
経験がジャマをして、頭が固くなってないか?
そう常に問うことで、アインシュテルング効果を防ぐのに役立ちます。
最後に
私たちは、経験を重ねると、より早く判断できます。
「年齢を重ねると、頭が固くなる」というのは、アインシュテルング効果の副作用です。
「初心に返る」というのは、具体的にどうすれば良いのでしょうか?
それは、忘れることです。
少なくとも、忘れようと努力してください。
そして初心者や、未経験者の話に、耳を傾けてください!